2011年2月4日金曜日

2011.02.03 イストラ半島紀 3:通過駅

3 通過駅
 ミュンヘンは雨。とても美しい空港でビールがうまい。そして何より12時間ぶりの煙草が格別だった。今夜の宿はスロベニア。ここからオーストリアへ小型機で入り、そこから先は迎いが来て陸路の予定。まだしばらくかかる。オーストリアまでは1時間程度らしい。夜だから噂の景色は楽しめそうにないな、せっかくのルフトハンザ なのだから、ドイツビールに的を絞ろう、と方針を固めた。
 ミュンヘン乗り継ぎは実にスムーズ。ドイツのハブ空港は見事に機能しているのか、たまたまなのか。いづれにしても心地よい気分で‘ビールと行く空の旅’へと向かった。
 窓に映る自分とビール。ぐっとガラスに顔を近づけると、街の明かりが見えた。小さな町が点在しているのがよくわかる。それぞれの町にそれぞれの人たちがいて、それぞれの日々を送っていることを想像すると、それらすべてをひとまとめに飛び越えていってしまうことが、とてももったいないことのように思えた。特急列車なんかに乗ると、気になる通過駅が必ずあるけど、ちょうどそれに似た気持ち。
 飛行機が着陸態勢に入ると、これまでとは比べものにならないほど大きい町の明かりが見えてきた。どうやらここがクラーゲンフルト(オーストリア)らしい。空港横、イケアが印象的。どこで見てもイケアはでかい。こじんまりした空港だから、その分よけいにイケアをでかく見せるのだろうと分析しながら、中部空港から預けっぱなしの荷物を受け取りターミナルへ出た。
予定では、クロアチア人でブランコという名の案内人と、このターミナルで落ち合うことになっている。それらしい人は数人いるが、日本人などほとんどいないこの場所、この時刻。向こう側から気づいて声をかけてきてもよさそうなものなのに、そんな気配は全くない。そんならまあじっくり待とうじゃないか、今にやってくるだろう。と、ターミナル周辺を散策することにした。
 町は自然が多く、北欧を思わせる雰囲気。後からブランコに聞いた話では、ウィンタースポーツも盛んだという。トップシーズンにはわずかに時期が早いようで人はまばら。一月後には灯るだろう街灯が薄暗い通りに規則正しく並んでいた。大きく左へうねりながらアウトバーンへと続く道。その道をブランコが乗ったルノーがやってきたのは確か、空港到着から40分後のことだった。
 現地時間夜10時。ブランコと行くイストラの旅の始まりだった。

つづく

Mateo=Rich

2 件のコメント:

  1. 始まりました!
    ブランコー遅いよー待ってたよー。

    ビールと空の旅、大人って良いなあと思う瞬間ですね。


    「それぞれの町にそれぞれの人たちがいて、それぞれの日々を送っている」
    これは正に、最近描きたくて、下書きしてたこと。
    子供の頃、旅の途中の夜の中で家の明かりを見ると、
    何だか不思議でたまらなかった。
    あの明かりのひとつひとつに、
    私の知らない家族がいて、私の知らない家庭を大切に思っていること。
    奇妙な疎外感を感じてしまった。

    情景が重なり、目に浮かびます。
    ブランコ、道先案内よろしく!


    しの

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  2. 「それぞれの町にそれぞれの人たちがいて、それぞれの日々を送っていることを想像する」

    旅は普段何気なく通り過ぎてしまうことをも感じさせてくれるのだな。街の風景や遅いブランコにも、全て含めて旅を十分に満喫している感じがいいなぁ。

    MrYujician

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