2011年2月12日土曜日

2011.02.11 彼のキモチ、彼女のキモチ/しのはずり


半月程前。
私の住んでいる地域では、雪もほとんど消えかけた頃のことである。
月2回の美術クラブ講師の仕事で、北へ向かった。

朝出掛けた時は、確かに晴れていた。
しかし、向かう先の雲行きが怪しい。
というか、あっちの空は白い。
近づくごとに雪が舞い、辺りが白くなってゆく。
さすが揖斐、である。
天気予報は北陸をチェックするのだと、昔聞いた。

到着して車を降りる。
道路は積もっていない。
田んぼの上、畑の上、小川の土手は真っ白い。
川沿いに、小さな雪だるまがあった。
ひとつ、数メートル先に、またひとつ。
もう数メートル先に、もうひとつ。
その先は、私の向かうクラブのある建物の入口だった。
作者はここにいないけど、作者のキモチがここに残ってて、笑った。



クラブが終って帰り道、雪は解け始めていた。
あの小さな雪だるまも、くったりしている。
刹那の思い。
ふと反対の土手に、犬が散歩しているのが見えた。
雪の上の足跡をたどると、向こうの橋まで続いていた。
小さな足跡は、恐らく橋の向こうにも残っているのだろう。

通り過ぎてしまった後に残る、彼のキモチ。
きっと嬉しくて、ずっと雪の上を歩きたかったに違いない。


しのはずり

2 件のコメント:

  1. 「作者はここにいないけど、作者のキモチがここに残ってて、笑った。」
    「通り過ぎてしまった後に残る、彼のキモチ。
    きっと嬉しくて、ずっと雪の上を歩きたかったに違いない。」

    行きと帰りに見たそれぞれの痕跡。
    何気ない光景なのに作者のキモチにまで想いを馳せるのは、さすがはしのさんの感性です。

    今後は僕も、もう少し何かの形跡・痕跡を見つけたら想いを巡らしてみようと思いました。

    MrYujician

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  2. 二つの足跡のお話 
    優しいショートですね

    雪に残ったしのさんの足跡を浮かべながら
    読ませてもらいました

    Mateo=Rich

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