その頃は森にはまだたくさん動物が暮らしていて、みんな女の子の友達でした。森の家は町から遠く離れていたので、同じ年頃の子供がいなかったのです。
ある暖かな春の日の午後、隣の空き家にひとりの音楽家が越してきました。毎日ピアノやヴァイオリンの音が聞こえます。それはそれは美しい音楽で、女の子は夢中になって耳を傾けました。
――音楽家はどんな人かしら。きっと素晴らしい人に違いないわ。
女の子は期待に胸をふくらませて、出会うのを待っていました。しかし、何日たってもその姿は見えません。音楽家は、カーテンを引いた部屋の中に一日中閉じこもっているのでした。
一 / 二 / 三 / 四 / 五 / 六 / 七
つづく
しのはずり
0 件のコメント:
コメントを投稿