2011年3月31日木曜日

2011.03.31 「回転木馬 六」〜シューマンに寄せる物語〜

3. 誰にも勝る君

 夏が過ぎ、秋になり、冬が訪れました。やがて積もった雪も解け、出会ってから十二回目の夜のことです。音楽家は悲しい目をして言いました。
「僕は月とともに、音楽を集めて旅をしている。十二回月が巡ると、次の土地へ行かなけりゃならない」
女の子は突然のことに驚きました。音楽家はずっとお隣に住むのだと思っていたからです。
「どこへ行くの。私も連れてって」
音楽家は辛そうに首を振りました。
「君に贈り物をしよう。明日の朝、僕の家へおいで」
女の子は、悲しくて涙がぽろぽろとこぼれました。
「泣かないで。いつか必ずここへ戻ってくる。森の音楽を忘れずにいてくれるかい」
女の子は涙をこらえてうなずきました。音楽家はいつまでも女の子の頭をなで続けました。





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つづく
しのはずり

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