2011年4月3日日曜日

2011.04.03 「回転木馬 七」〜シューマンに寄せる物語〜

4. 献呈

 次の日は春風を感じる美しい日でした。光のようにきらきらしたピアノの音が聞こえます。女の子は音楽家の家のドアをたたきました。扉は静かに開き、ぴたりとピアノの音は止みました。
 家の中は薄暗くがらんとしていました。奥の部屋から薄明かりがもれています。のぞくと広い部屋の真ん中にピアノが一台置いてあるだけです。音楽家の姿は見当たりません。
「どこにいるの」
それに答えるようにあのオルゴールの音が聞こえました。目を凝らすと、窓辺の小さなテーブルの上にあのオルゴールが乗っていました。そっと手に取ると、木馬がぶるんと首を振りました。その瞬間、女の子は音楽家がもう行ってしまったんだとわかりました。
 オルゴールは、やさしい春風の音楽を奏で続けました。それは音楽家のように美しい旋律でした。

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つづく
しのはずり

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