次の日は春風を感じる美しい日でした。光のようにきらきらしたピアノの音が聞こえます。女の子は音楽家の家のドアをたたきました。扉は静かに開き、ぴたりとピアノの音は止みました。
家の中は薄暗くがらんとしていました。奥の部屋から薄明かりがもれています。のぞくと広い部屋の真ん中にピアノが一台置いてあるだけです。音楽家の姿は見当たりません。
「どこにいるの」
それに答えるようにあのオルゴールの音が聞こえました。目を凝らすと、窓辺の小さなテーブルの上にあのオルゴールが乗っていました。そっと手に取ると、木馬がぶるんと首を振りました。その瞬間、女の子は音楽家がもう行ってしまったんだとわかりました。
オルゴールは、やさしい春風の音楽を奏で続けました。それは音楽家のように美しい旋律でした。
† † †
一 / 二 / 三 / 四 / 五 / 六 / 七
つづく
しのはずり

0 件のコメント:
コメントを投稿