赤壁の空は、やがて鉄壁の山脈に落ちてゆく。そこらの地上とそこらの宇宙が、見事に溶け合う景色。町ですれ違う女達は、皆美しく、その美貌の陰に魔性の質感を併せ持っている。日が傾くにつれてその数は減ってゆくようだけれど、はてさてどこへと向かうのか。それはそれとして、武器商のテントで見たあの女子は、何故俺をひきつけるのか。ねぶる様に町を練り歩き、全てを調べつくす手筈でいるけれど、あの女子のことが頭をジャクして離れない。胸の奥かなり深い位置から沸き起こる感情。その波が満ちて引き際に、真っ暗な闇が迫り来ている。それにタイミングを感じて、俺はポケットの中に忍ばせていた敵地へ忍び込ますスパイを取り出し町に放った。町を囲むように数体のスパイが配置について、各々の任務の遂行に向かう。柔らかな明かりの洩れる民家の小窓。その陰には、確かにこちらをうかがうゲリラの影が。互いに一定の距離を保ちながら、出方をうかがうお見合いが続いている。結局一歩を踏み出すことなく夜明けが近づく。俺はスパイをポケットに戻し、再び武器商の女子に思いを寄せる。
朝と夜と別々の顔にさせるのは、太陽と月が入れ替わり照らす為だろうか。俺は来る日も来る日も別に何の気もなく、それら宇宙の仕組みを前に為す術もない。人はいつでもそうなんだ。明けても暮れても。町中に浮かぶ欲望に、群がり、啄み、夜明けを前に散りゆく二ブラー。
Mateo=Rich
Mateo=Rich
いつも乾いた風と熱を感じます。
返信削除きっとマテオさんは北より南が似合う。
しの