赤壁の空は、今日も鉄壁の山脈に落ちてゆく。そこらの地上とそこらの宇宙が、見事に溶け合う景色。昼間の賑わいもいつしか消えて、人々は声をひそめこども達を隠している。こちらはこちらで策に溺れて、いまだに互いの出方をうかがうしまつ。そんな風に一年が過ぎ結局俺は一人ぼっち。味方の援護も届かず、一人ぼっち。そういえばあの武器商の女子は、今どこで何を思うのか。俺はこの位置から特に何をすることもなく、時々こうして彼女を思い出している。山脈から吹き下りる風が草木を揺らし、時折緩やかなビートを奏でるけれど、なんだか今日はそのビートに乗せられて、俺はポケットの中から彼女へ届けるべくギターを取り出した。点在する民家の小窓の明かりの一つが、ひときわ優しく俺を和ませる。なるほどそういうことだったか。俺は再びスパイを配置して、路地をダンスで飾りたてた。彼女は俺の演出などには目もくれず、ただただ静かに明かりを揺らし続けるだけだ。ならばこちらはと得意のギターに加え、酒にハーブを浸して、甘い香りをビートに乗せ届けてみた。もはやスパイのダンスは意味をなさず、スーツケースの奥底にしまいこんだ。
時の流れに身を任すのは難しい。浮いては沈んだしばらくの時間がここへと導いとしたならば、俺は来る日も来る日も特に為す術もなく、それら宇宙の仕組を受け入れるしかなかったのではない。人とはきっとそうなんだ。明けても暮れても、静かな潮の満ち引きに、だんだんと純度を高め、互いに理解を深めるニブラー。
Mateo=Rich
「人とはきっとそうなんだ。明けても暮れても、静かな潮の満ち引きに、だんだんと純度を高め、互いに理解を深めるニブラー。」
返信削除きれいな表現。
そして何か物悲しい。
風が吹いてる。
しの