山のふもとを囲う道を歩いて二つ目の川に架かる木造の橋を渡り、この辺りでは大きい部類に入る村落の玄関口でこそこそと中の様子をうかがっている。昼食時だから、メインストリートには、準備されたたくさんの料理と、それを求める村人の早足で活気にあふれている。それにつられて村の中へ入り、若い夫婦らしき二人が営む屋台の前で足を止めて、種類豊富な惣菜の山に一通り目を流し、三種を決めてそいつを盛ってもらい、至福の食事をとるわけだけど、飲料なしには食も進まない。だから店の迎いの飲料店でハーブティーの濃いやつを持参のボトルに、乾燥ハーブの葉を一つかみ麻袋に入れてもらった。
食事に適した日陰を探して通りを歩けば、群れをなした男達が、ふらふらと列を乱し、幅を伸縮させながらこちらに向かってくる。一様にノビノビのタンクトップスタイル。色は各自思い思いのものをチョイスしている。皆で食事を済ませてきたことが、そののんきな足取りからわかる。厄介事はごめんだから、目を合わさないように見送ると、群れはさっきの飲料店の中へ消えていった。
人通りの少ない木陰で地べたに座り、一気に料理を平らげると、ハーブティの突き抜ける刺激に天を見上げた。輪郭のくっきりした雲は夏を意味するけれど、この山岳地帯の町では、一年で一番過ごしやすい季節にあたる。故郷のこの季節にあるような耐え難い蒸し暑さがない分だけ、感覚の輪郭もくっきりしている。俺は再び視線を地上に向けて、ポケットの中から小さな麻袋を取り出した。自作の枯草に乾燥ハーブをまぶして、静かに香りを楽しむのだ。
のらりのらりと通りに出る。さっきの男達の群れと同じ足取りで。空腹を満たした村には張りつめた空気は一切ない。ゆるく素朴でまろやかだ。端っこの方でお腹を休める村人は皆穏やかに見えるけれど、感覚の基準ラインはとても高く、隣村の犬の遠吠えにも気づくほどの敏感さを持っている。俺もいつしかそこに馴染み、わずかな音も聞き逃さないように感覚を研ぎ澄ましている。
Mateo=Rich
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